もうひとつのハチイチ全日本選手権

FILE 32〜グランドファイナルのピットに立つ!

悪夢としか言いようのないアクシデントで、リタイヤとなったトシゾー店長。ピットを務めたTSURUちゃんとどんな会話をしたか、私はどんな行動を取ったか、全く記憶にない。ただ、気がついたら、トシゾー店長のそばにいた私であった。

何と声をかければいいのか、全くわからなかった私であるが、そんな私に向かって、トシゾー店長から思いもよらぬ一言が!

「GUN-Boy!浅原さんの給油、お願いできないか!?」

「何ぃ〜!オレはさぁ、チーム九州男児の、そしてあんたのピットクルーとしての仕事は、もう終わったんやで!何をいまさら・・・」と思った私は、

「あんたは、どうなん?」とトシゾー店長に問いかけ直した。

「オレは、(浅原さんのピットクルーを)やるでぃ!」

短いその言葉に、私はトシゾー店長の気持ちを痛いほど感じた。

「悔しいよ!言葉にならないくらい悔しいよ!残り1分を切ってたんだぜ!?やり場のないこの気持ちを、周りの全てにぶつけたいくらいや!頭を抱えて、うずくまっていたい気分や!でもな、そんなことしたって、何にもならない!何も変わらない!それにまだレースは残っている。これからグランドファイナルが始まるんや!オレは、グランドファイナルを走る選手のサポートをする!それが、今、オレがやることなんや!それがチームの一員としてオレがやるべきことや!」

その瞬間、抜け殻状態になっていた私の体にスイッチが入った!

「臨むところじゃ!任せちょけ!」

さっそく二人でグランドファイナル進出を決めた浅原選手の準備を進める。私は、タイヤセッター場に移動し、タイヤを削り始めた。でもこぼれ落ちそうになる涙をこらえることができなかった。

「本当だったら・・・」。

タイヤを削るのをやめ、泣いた。泣きじゃくった。

でも、すぐに気持ちを切り替えた。オレが、今すべきことは泣くことじゃない。浅原選手のピットクルーとして、全力を尽くすことだけだ!

全ての準備が整い、ピットに移動するトシゾー店長と私。栄光のグランドファイナル進出を決めた10名の選手の紹介が終わり、いよいよ平成14年度ハチイチ全日本選手権の最終レースがスタートする!


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