「バリバリRC伝説」

Lap 15〜F1GP 第4戦を振り返る Vol.1
 
  
HARM FX-1のデビューレースとなるHARMグランプリ&チャレンジカップ1:5クラス第4戦の前日、朝から冷たい雨が降り続く中、セントラルワークスの浅原選手・橘選手、そしてナイゼニ・マノセルが朝一からKawasemi入り。レース当日の天気予報は曇りであったが、セントラルワークス勢&マノセルは、防水対策を施した後、ウエット路面でのテストを繰り返していた。水しぶきを挙げながらホームストレートを駆け抜ける車は、快調にラップを重ねていた。が、しかし、このテストがレースにおいて吉と出たか、凶と出たかは、伏せておこう。

さて私はというと、防水処理の方法に頭を悩ませていた。というのもFX-1の受信機は、タイヤチューブをかぶせているものの、コネクタ部分はむき出し状態で、受信機内に雨が容易に進入することは目に見えている!加えてステアリングサーボは、HITECを使用しているのだが、これまでのレースでFutabaのサーボよりも雨に弱いという事実も判明している。
雨に弱いというか、普通はウエット状態では走行させないのだから・・・。

あとはバッテリーからのコネクタ部分などはビニールテープを巻き付ければ問題ないことはこれまでの経験で立証済み。問題はやはり受信機の防水対策だ・・・。

そんな時、橘選手が受信機の蓋を開け、基盤に何やら液体を丁寧に塗布しているのを発見した。すると側にいた浅原選手が、「そげんことせんじ、こげぇすりゃいいんじゃ!貸しちみぃ!」とばかり液体の入った容器を傾け、まるでソースや醤油をかけるかのごとく、ドボドボと液体を受信機の基盤にかけているではないか!

「えぇ〜そんなことして、大丈夫なんですか?」思わず浅原選手に問いかけたら、いつもの口調?で「ええ。ハイ」と一言。その液体の正体はセントラルRCから発売されている「コンディショニング・オイル」。私は知らなかったけどかなり以前から発売されているようで、浅原選手の説明では、コンディショニング・オイルを塗布するとオイルの皮膜が作られ、防水対策にはばっちりらしい。しかし現在では発売されておらず、国内にわずかに残っているだけだと言う。「でも(Kawasemi.Jrに在庫が)ありますよ」と浅原さん。私とマノセルが貴重な2本を手にするまでの時間は、1分とかからなかったのだ(笑)

ジュースを買いに、ショップの外に出て、「雨さえ降らなければ、いろいろ悩むことはないのに・・・。」うらめしそうに厚い雲に覆われた空を見上げていたら、いきなり雨が降ってきやがった!午後になっても雨は止むどころか、次第に雨足が強くなってるが、そんな悪天候にも関わらず、F1クラスに出場する選手を中心に、続々とKawasemi.Jrに集まってきた。ビルヌーブ、ミハエルとうちゃん、バリチェロ、アレジ、アーバイン、モリトーヤン、そしてシューマッハ。広い店内のあちこちにテーブルが広げられ、それぞれにレースに向けての準備が始まる。第3戦以来、初めて自分の車にさわる選手もいれば、早々とメンテが終わり、ボディのワックスかけを始めるミハエルとうちゃん。「GUN-Boyのも磨いてやろうか?シャンプーと手がけワックスのスペシャルコースは、ちょっと高いけどな(笑)」。「スペシャルでお願いします!(笑)」。そんな和気藹々の雰囲気の中にあっても、F1パイロットたちは口々に「GUN-Boyの4連勝だけは阻止するぞ〜!」と、まるで巨摩グンがラルフ・アンダーソンの母国アメリカGPで自分の周り全て敵に回したように、GUN-Boy包囲網が形成されている!

しかし私には心強い味方がいることを忘れてはならない!

第4戦からTeam Rothmansのドライバーとして参戦する聖秀喜こと、博多の松ちゃん!1:5ドライバーとしての実力もさることながら、兄貴肌の松ちゃんは地元の若いドライバーたちに慕われている存在で、もちろん私も頼りにしている兄貴だ!二人一緒にRothmansのウエアを身にまとい、「狙うはワン・ツーフィニッシュたい!」

さらにTeam Rothmasで忘れてはならないのが、プロフェッサーTakuの存在である。FX-1の実戦投入に先駆け、タイヤウオーマー・コントローラーを改造してくれたのは既に述べたが、FX-1に搭載する受信機用バッテリーも作ってくれたのだ。単3乾電池5本を使い、それを俵型に組み上げた専用バッテリーは、小型軽量でありながら2000mAの容量を持つ。どれくらい軽いかといえば、これまで使っていたバッテリーの約半分!FX-1のシェイクダウンからこれまでFG F1で使用していたバッテリーをサーボの上に搭載して走行させていたが、Takuちゃん作の専用バッテリーは、サーボの下、シャシーに直接搭載するので、かなり低重心化が図られる。

いざ搭載!となって手伝ってくれたのがTSURUちゃんだ。

専用バッテリーを搭載予定の場所には、あらかじめシャシーに2本のビス穴が開いている。デジタル・ノギス片手にその寸法を測ったかと思えば、FX-1標準の受信機バッテリーホルダーをちょちょいのちょいと加工し、シャシーに搭載してしまった。さすがはTSURUTA製作所の異名を取るだけはある!Takuちゃんとの鮮やかなコンビネーション!二人の職人技に見入ってしまっていた私だった。

こうして強力な助っ人の協力&サポートを受けた私は、バッテリーの放・充電の管理をTSURUちゃんにお願いし、細部のチェックを済ませ、HARM FX-1のデビュー戦を迎えたのであった。

 
<<BACK TOP NEXT>>