もうひとつのハチイチ全日本選手権

FILE 22〜Case of トシゾー店長

泣いても笑っても、これが最後の予選ラウンド。福田選手、北出選手に次ぐ3番手ゴールだったので、堂々とピットエリアの左から3番目の位置を確保。エンジンを暖気させ、電波オールクリアのMCで電源コネクタを接続。と、その時!

「ぎやぁ〜!」と声には出さなかったが、右手親指に激痛が走る。電源コネクタを接続しようとして、それまでは親指で差し込んでいたのだが、スムーズに入らず、人差し指で入れようとしていたら、右手にはめたグローブがピニオンギヤとスパーキヤーにはさまれ、その結果、親指も持っていかれたのだった。

しかし痛いだなんだ言ってられない。冷静に指を外し、ギヤにトラブルはないか?電源コネクタがしっかり差し込まれているか確認。コントロールタワー上のトシゾー店長と目で確認を取り、真っ先にコースインさせる。2分間のウオーミングアップ中はニードル調整などにピットに入ることなく、路面コンディションを確認すべく周回を重ねるトシゾー店長。

「計測開始30秒前!」のMCで全車ピットに入ってくる。車を受け取り、コントロールタワー上を見上げると、「これでいい!」と言葉には出さなかったが大きくうなづくトシゾー店長。その表情からは気負いも迷いも一抹の不安も感じられなかった。感じられたのは、ものすごい気迫!「5分間、息止めていくでぃ!目にもの見せちゃるわい!」みたいな・・・。

福田選手がスタート!続いて北出選手がスタート!そしてトシゾー店長がスタート!とピットエリア出口でいったんストップした。前を行く北出選手との距離を置くためか!?最終コーナー途中にある計測ラインを通過し、計測が始まる。

1周目は16秒40台(だったと思う)。19周クリアの基準ラップを大きく上回るタイムで周回するトシゾー店長。そして、ついに3分過ぎ、福田選手をコンマ2秒押さえ、トップに立ったのだ!

予選が始まる前日、工具箱を取りにトシゾー店長とドライブに出かけた際、「予選ではどれくらいで行けそうね?この調子(レースウイークに入って連日トップタイムをマーク!)で行けば、シードどころか、予選TQも行けるんじゃねぇん?」という私の問いかけに対し、「あんた、バカじゃねぇん!そればっかりは、万が一にも絶対にねぇ!一発のタイムは出てるけど、絶対的な安定感に欠けるもん。トップから5秒は離されると思う。それだけ他のドライバーの安定感は脅威的やで・・・」。とトシゾー店長。「あんたなぁ〜、予選の組み分け次第じゃあ、わからんで!ひょっとするとひょっとするじゃん!攻めて攻めて攻めまくらんと!そげな弱気でどうするん!勝つ気で行かんと!気持ちで負けたら、つまらんので!」。

そんな会話もしたのだが、このままのペースで行くと、19周はおろか、予選第4ラウンドで下選手が叩き出したタイムをも上回るのだ!ということは、万が一にもないと言ったTQ獲得じゃん!このまま息を止めて行きやがれ!トシゾー店長!

と、心の中で叫んだその時!


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