もうひとつのハチイチ全日本選手権

FILE 23〜ラスト1分の戦い!そして・・・

4分過ぎ、右のインフィールドから最終コーナーへ向かう、小さなS字で左、そして右とリヤタイヤを縁石に軽く乗せてしまったトシゾー店長。その周回はトップで通過したものの、コントロールラインを過ぎ、最終コーナーでわずかにラインが乱れ、スピードに乗れぬまま(それでも、ものすごく速いのだけど・・・)立ちあがってしまう。視界に届かぬ位置を走る福田選手であるが、目に見えないプレッシャーをトシゾー店長に与えつづけていたに違いない。いや、それは福田選手にも言えること。トシゾー店長に押さえられていたのだから・・・。トシゾー店長のほんのわずかなミスとは言えないミスを突き、再びトップに立つ福田選手。コンマ2秒差でトシゾー店長、さらに1秒遅れで北出選手と続く!

まもなく5分が経過しようとしたとき、この上位3台は19周目へと突入。これが最終ラップ!痛みをこらえ握るストップウオッチ。コースを攻め続けるトシゾー店長!バックストレートエンドから右のインフィールドへ入るヘアピンもスムーズにクリア。ラインに乗せるのが難しいと言っていたコーナーもスピードに乗り、最後のS字をクリアし、コントロールラインへ!

「どうだ!?」。私のストップウオッチでは、19周5分12秒85のタイムでゴール!すぐさま、ピットの後ろに設置されたモニターで順位を確認する。トップは・・・・福田選手。19周5分12秒73!トシゾー店長は、わずかコンマ2秒差の19周5分12秒97で2番手に!

「おっしゃぁ〜!おっしゃぁ〜!2番手ゴールじゃけど、シード確定じゃぁ〜!」とはしゃぎまくってしまった私。そう、この時は予選4ラウンド目で下選手が出したタイムを見てなかったのだ。「よっしゃぁ!すげぇぞ!トシゾー店長!すげぇ〜!すげぇ〜!」と心の中で叫びながら、車を回収し、エンジンを止め、電源コネクターを抜き、車検場へと持っていく。シード確定(と勘違い!)でうれしさのあまり、周りの状況なんて頭の中からどこかへふっ飛んでしまっていた、トランスポンダーを外そうとして「ぎやぁ〜!」と思わず悲鳴をあげてしまった私は、ギヤに挟み込んだ右手親指の激痛とともに我に返った。

「しまったぁ〜!」

そう、この後、まだ予選ヒートは残されていた。しかもトシゾー店長の次のヒートは、悪ガキが出撃するんじゃった!ピット内にいたNEXTの土居さんに、「トシゾー店長の車検!車検!」と無理やりお願いし、慌てて悪ガキの車やスターターをピット内に運び、コースインさせたのであった・・・。

コントロールタワー上にいた悪ガキは、「GUN-Boyんやたぁ〜、何グズグズしてるん!?さっさと車を出しやがれ!」とイライラしていたに違いない。ごめんな!悪ガキ。

何とか痛みをこらえながら、12ヒートのMEGA点のピットまでを務め上げ、全ての予選が終了した。左手でトランスポンダーを外し、車を九州勢のパドックへと持ち帰る。「お疲れさん!」「ありがとうございました!」「大変やったなぁ!」と選手たちは私に対し、ねぎらいの言葉をかけてくれた中で、「GUN-Boy、ケガしてるん?」と言ったのは悪ガキ。

スポ根マンガが大好きな私としては、親指をケガしたことは黙っていようと思っていた。だってかっこいいじゃん。九州勢大活躍の影に、3針も縫う大怪我(例えればの話です)をしながらもピットクルーに徹した一人の男がいた・・・なんてさ!

「(エンジンの)ヘッドに血がついてたよ!大丈夫!?」と悪ガキが言うのでは、グローブを脱いで見せた。私もその時、初めて見たのだが、きれいにギヤの形に皮膚が・・・。あんまり詳しく書くと気分が悪くなる人もいるかも知れないのでやめておく。

「私の知り合いには、指が○○だ人がいましたからねぇ〜」とNEXTの土井さんがポツリ。自分で思ったよりも重症だった。TSURUちゃんが、液体バンソウコウを持っていたので、応急処置するも痛みは増すばかり。少しでも痛みを和らげようと、見事、シードを獲得したトシゾー店長のリザルトを見ようと、全ての予選ラウンドの集計結果を見て、更に激痛が増した私であった・・・。


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