朝6時前、トシゾー店長の荷物を運ぶのを手伝うために部屋を出る。するとすでにエレベーターの前に、自分で荷物を運んでいた。自分から口には出さないけど、結果が全ての選手権にあって、その結果を出すということは、選手にとってはものすごいプレッシャーというか、重圧を感じているものだ。トシゾー店長だって例外ではない。さらには多くの方々からの期待をいつも両肩に背負っていると思う。
「あんたなぁ〜、この体型を維持するのは大変なんで!」とトシゾー店長はよく言うが、その重荷を背負っても大丈夫などっしりとした体をしてるんだ!とその言葉の意味が理解できた・・・(笑)。
私はいつものバッグと別に、万太郎から借りているVETEQを持ってエレベーターに乗った。「あんた!そげん汚さねぇもん、何するん?」とトシゾー店長。「あ〜!汚さねぇち言うたな!みんなが準備しちょる間、オレはこれで練習するんじゃ!」
そう、BOSSに到着するなり、選手のみんなが決勝レースに向けて準備を始めると、私は氷で冷やし続け、痛みがかなり収まってきた親指と、タンクを開ける人差し指、そして手首の傷を保護するためにテーピングを巻き、グローブをはめ、VETEQとGUNを持ってピットエリアで給油とタイヤ交換の練習を始めた。
昨日、予選が終わって決勝レースに向けたブリーフィングが行われたが、「給油する際、ピットレーン上で行ってもいいのか?」ということ。私の質問が原因?でそのブリーフィングは1時間にも及んでしまった。ピットワークに関する注意事項を簡単にまとめると下記のとおりとなる。
@ピットには2名まで入ることができる。
A各ドライバーのピット位置は、あらかじめ白線で仕切られた枠の範囲内とする。決勝GRID順にドライバーの立ち位置と同じく優先的に選択することができる。
B給油のためにピットレーンに入ってきた車を、ピットクルーはピットレーンに手をついたり、足を出したりして車を回収してはならない。
C給油に入るために、ドライバーは自分のピットクルーが立つ枠内に車を停車させなければならない。この時、ドライバーは隣のピット枠を通過して自分の枠に入ってはいけない。
D給油はピットレーン上で行ってはいけない。さらにピットレーンとピットエリアを仕切っている角材よりも内側で給油をしなければならない。
E給油を終えて、コースに戻る際、ピットに入ってきた車が優先とする。さらに隣のピット枠を通過してピットエリア出口に走ってはいけない。
F以上B〜Eを守らなかったドライバー&ピットクルーには、警告を!さらに警告があった場合には、ピットエリア出口に設けたペナルティエリアでマーシャルの指示に従い、ストップさせなければならない。
と、まあこんな感じである。私にとって大きな問題はC!これまで右から左へまっすぐ走ってきた車を掴んで給油するという練習しかしてこなかったのだ。Cだと自分のピット枠に入るため、極端に言えばピットに立つ私に向かって、真正面から車が入ってくることも考えらえる。
右手人差し指でタンクを開け、親指でエンジンヘッドを押さえるという給油スタイルの私にとって、これは死活問題!コースに背を向けて車を掴まないといけないじゃないか!
そんなこともあって、決勝レースが始まる前に、最後の給油練習を行った。ピット枠の幅を目いっぱい使って、できるだけ鋭角で入ってくるイメージで、Yoshidaさんに無理にお願いして何度も何度も車を押してもらい、その感触を確かめた。
でもダメだった。限りなく鋭角に車が入ってくれば、これまでどおりの給油タイムでいけるが、真正面から入ってこられると・・・。
作戦を急遽変更し、「確実に給油すること!」に切り替えた。給油は他のピットクルーと同じか、1秒遅れかもしれない。でも全力を尽くしてがんばる!だからドライバーもがんばってくれ!
時計の針は8時30分を回った。9時からいよいよハチイチ全日本選手権、そして「もうひとつの全日本選手権」決勝レースがスタートする!!
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