不安な気持ちを払拭し、削り終えたタイヤを持ってトシゾー店長のパドックへ帰り、セミファイナルに向けての最終打ち合わせをした私たち。その中で「もうひとりのピットクルーは誰にしてもらうか?」という話になった。
1/4Final までは決勝時間は10分。しかし1/2Finalは20分となる。ドライバーとピットクルーの連携もさらに強化する必要があった。現在の順位、それにより前を走る車、あるいは後ろを走る車とのタイム差や、給油に入るタイミングを的確にドライバーに伝えることはもちろん、ウオーミングアップ中のタイヤ交換、さらには考えられるアクシデントに対処するために、ピットクルーは私を含め、2名体制行こう!ということにしていたのだ。
「人選はあんたに任せる!」とトシゾー店長。さらに、「あれを投入するで!」と付け加えた。
「あれを行くかい!?」
ピットエリアから叫ぶ私の声は、トシゾー店長には聞こえにくい、というか聞こえないらしい。そのことは、昨年、ドイツで開催された1:5世界戦でのセミファイナルでも実証済みなのだ・・・。
これはピットクルーとしては致命傷。いくら給油が早くても、いくら的確にニードル調整などが出来たとしても、ドライバーとコミュニケーションを図るために、ピットクルーの声が聞こえないということは、話にならない。
そこで私が考えた秘密兵器は「インカム」。自分自身、チャレンジカップの1:5F1レースで使用して、その実用度の高さは身をもってわかっている。さらに「インカム」を使うことで、コース内を走行中に、「上を絞れ!」という指示を受けることができる。ピットに車が入ってきてから、指示を仰ぐよりも、ピット作業の時間を短縮できるし、レース中、さまざまな情報を的確に伝達することもできる。
こうしたことから、BOSSに出発する前にKOちゃん、そしてアイスマンから2台のインカムを借りていたのだ。
何で2台なのか?
1台はドライバーとピットクルー用、もう1台はもう一人のピットクルーと、パドックにいるチーム九州男児勢との交信をするためだ。コース内での停止車両の情報など、ピット内にいては見落としがちな情報も的確に伝えてもらおうと考えていたからだ。
この「インカム」を使うことのメリットは計り知れないのだが、不安材料もあった。なぜなら、これまで1度も「インカム」をつけて練習したことがなかったからだ。さらには、誰一人として「インカム」を使用していないのだ!
「これってもしかして、使ったら悪いんじゃないん・・・!?」
「まさか!?」と思いながら、運営テントに足を運び、競技委員長に「ドライバーとピットクルーがインカムを使用して、コンタクトを取ったりするのは、どうなんですか?」と尋ねると、
「ダメ」!と一言・・・。
KOちゃんやアイスマンに無理言って貸してもらったインカムは、結局、使うことなく持ち帰ったのであった。ごめんなさい。
その足で、チーム九州男児のパドックに行き、レースを観戦していた選手にセミファイナルのピットクルーをやってほしい!と頼んだところ、返事がない・・・。
しかし、すぐさま、「オレがやる!」そう言って立ちあがった男がいた!
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