ドイツに来て、だんだん目覚めが悪くなってくる。はじめてトシゾー店長に起こされた。「どうね?調子は?」とトシゾー店長が私に尋ねる。「う〜ん、自分じゃぁ、気負っているところも、緊張しているところもないと思うけど、
でも気づかないところで、気負いすぎて、緊張しまくっててるんだろね・・・。」と私。「そりゃ、誰だってそうさ。オレだってまともに走れるんだろうか?全然ダメなんじゃないか?ってレースの時は、いつも思ってる。でもなぁ、気持ちで負けたらダメ!気持ちで負けたら、やれるものも、やれなくなってしまう。気持ちで!気持ち!今日はやるでぃ!」とトシゾー店長。
こうして始まった予選2日目。この日は、昨日とスケジュールが逆になり、グループ8〜15までが午前中に2ラウンド、午後からグループ1〜7までが2ラウンド、予選が行われる。
グループ8には、ハチさんが出撃。車はラウターバッハL3SS。ラウターバッハが世界戦制覇に向けて送り出した刺客を駆るハチさんであったが、国内では十分なテストができないままドイツ入りとなった。でもそこは百戦錬磨のハチさん。自分の手足となって走る車に着実にセットを出していく。その証拠に、33周、10’03.23のタイムを叩き出す。34周はもちろん、ベストラップも上がり、35周に突入するのも、もうすぐそこまできている。
続いて登場するのが、グループ14のトシゾー店長。予選初日で6位につけ、この日も足周りを中心にセッティングを施し、3回目の予選に向け、エンジン調整をするべく、パドックの外に出たトシゾー店長。しかしすぐさま「SW野郎!手伝ってくれ〜!」の声。
スターターを引っ張るも、うんともすんとも動かない。私が車を押さえ、トシゾー店長が引っ張るけど、何回やっても動かない。予選スタートまであと15分。「エンジンが壊れてる?」。急いでパドックに持ち帰り、スペアエンジンに積み替えるべく、作業が始まる。ただならぬその様子に、4回目の予選を控えたハチさんも、自分の車そっちのけでエンジン交換に手を貸してくれる。マフラーをはずし、エンジンを降ろし、スペアエンジンを載せようとしたその時、「あんたなぁ!○×△◆に○×△◆が○×△◆てるじゃねぇか〜!」とハチさん。そう、エンジンは壊れていなかったのだ。それからまた急いでエンジンをもとに戻すトシゾー店長。予選スタートまであと3分。ポンダーを取り付け、ボディーをかぶせ、さぁ、急げ〜!
そんなドタバタ劇があったにも関わらず、ここ一番の集中力を発揮するトシゾー店長。やはり彼の速さの秘密は、この集中力のすごさがある!しかし、どうも車がおかしい。最終コーナー付近で無念にも車がコースアウトしてしまう。結果は35周、10’03’23。コースアウトがなければ、36周、10秒を切っていたかもしれない・・・。
引き続き行われた予選4回目。ハチさんは31周、10'05.68に終わる。続くトシゾー店長であるが、さっき車がおかしかったのは、どうやらデフに問題があるようだ。リヤタイヤを空転させると、何やら異音が・・・。デフが死んでいるのか?予選スタートまであと40分。デフを降ろして、チェックして、最悪積み替えるとギリギリだ。ここでさいとうさんが登場。いつもそばにいたけど、ここというときに登場するさいとうさん。緊急手術が始まったトシゾー店長のパドック。私たちもドライバーや六角レンチをもち、いつでも手を貸せる体制を取る。リアのユニットごと外し、デフを降ろす。どうやらデフの右側のスポッと抜けるところが焼き付いているようだ。別のデフに交換し、急ピッチで、しかも確実に組み上げていく、さいとうさん。出走5分前で作業は見事に完了!
予選4回目のトシゾー店長のタイムは36周、10'11.57をマーク。昨日の記録よりも若干縮めたものの、出走前に十分なセッティングを施すことができず、不満げなトシゾー店長。それもそのはず、有力選手たちは次々と36周をマーク。その中でコラーリとミエルケの2人は37周に突入したのであった!
ランチタイムをはさんで行われた午後からの予選。天気予報では、明日は朝から雨だという。となると今日のうちにいいタイムを出しておかないと上位進出は厳しい!私の目標は、まず10分間の予選完走。そうすればおのずと結果はついてくる!そう信じて臨んだ予選3回目。タイヤはフロントSX3、リヤSX2。バネはフロントをバイオレットからイエローに交換。ピットレーンからコースに出る。昨日のような神経質な動きはせず、マイルドではあるものの、コントロールしやすい車となった私のFGコンペ。2分間のウオーミングアップランが終わり、 そのまま計測開始!
コントロールラインを通過した時点で、瞬時に現在の順位を表示する計測装置の一番上にはゼッケン1。そう私がトップを走る!順調にラップを重ねるも、迎えた5周目、突如、車がストップ。エンジンはかかっているのに、いくらスロットルを握っても、車は前に進まない?どうしたんだ〜〜!?ピニオンか?そのままリタイヤとなった私。車を見ると16Tのピニオンがなくなっている・・・。昨日、車の整備をした際に、外したピニオンをしっかり締めていなかったから?いやそんなことはない。ロックタイトを塗って、渾身の力を込めて、締め込んだのに・・・。
続く予選4回目。先程の悪夢を振り払うかのように走る車。今回もまた、トップを走る私。が、しかし、3周目に入ったところで、またもやストップ!全く同じ症状である。そのままコースに戻ることなくリタイヤ。原因は、またもや16Tのピニオンが脱落・・・。絶対に外れないように、真剣に締め込んでいたのに、なぜ?どうして??何で世界戦にまできて、こんなにもトラブルが続くんだ? どうしてなんだ〜! くそったれ〜!
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