SW野郎の「1:5世界選手権参戦記」

公式練習初日編〜その2

準備を進めているとさいとうさんから、選手各自に今大会で使用するクリスタルを渡された。日本で使用しているクリスタルは世界戦では使用できない。というのも、同じバンドでも日本の周波数とヨーロッパの周波数は違うらしい。続いて山崎さんから、今日から3日間行われる公式練習の詳細が告げられた。11日と12日は午前8時から1グループ15分間ごとの練習走行が行われる。全部で15グループあり、それぞれ3回の練習走行ができる。3日目の13日には、予選形式で2回の練習が行われることに。

使用するプロポはコントロールタワー内のグループごとに分けた箱の中に入れ、全て終了後に受け取る。これは全日本選手権等でも同じこと。「明日からは、7時30分までにプロポを磨いて、コントロールタワーに預けること!」と山崎さん。「え〜?何で磨くんですか?」と真顔で私。「『ラジオ・インパウンド』ならぬ『ラジオ・コンパウンド』!」「・・・」。すかさず橋本ハチさんが、「ドイツまで来て、どいつもこいつも・・・」「・・・」。

話を元に戻すが、3日間のグループ分けを見てみると、グループ1に藤井さん、グループ2が私。トシゾー店長がグループ10だったかな? 山崎さんが最後のグループ15。ハチさんとハシモトくんは・・・。ということは、藤井さんと私の1回目の練習走行時間は既に終わっているではないか!10時15分からスタートするトシゾー店長の練習走行まであと10分しかない。慌てて準備を進めるトシゾー店長。

コース左側のピット入口でポンダーを受け取り、前のヒート終了と同時にピット内に車を移動する。ドライバーは、コントロールタワー後ろの階段で待機し、係員の指示でコントロールタワー内に入る。トシゾー店長の走りをコントロールタワー横のフェンス越しに観察する私たち。ピットを出てすぐに左、右、左といったシケインがある。シケインをクリアすると複合コーナーを立ち上がり、バックストレートへ。バックストレートから左にターンするコーナーには、かなりのバンクが付いている。そのコーナーをクリアして手前のヘアピンまでの立ち上がりのスピードときたら、「これが本当に1:5の立ち上がりなの?」と目を疑うほどである。それもそのはず。バンクを利用して日本では考えられないようなスピードでコーナーをクリアするから、まるでバックストレート後半のようなスピードで立ち上がってくるように見える。手前のヘアピンを立ち上がり、最終コーナーを立ち上がってくるとコントロールタワー前を通過し、再びシケインに突入!

トシゾー店長の車はタイヤはフロントにカットスリックのSX3、リヤに同じくSX2といった構成。エンジンはゼノアチューン。ステアリングサーボには世界戦用に開発されたハイトルク型のS9450を2基掛け。エンコン・ブレーキ側にも同じくハイトルク型のS9450を使用。車の動きに関しては、う〜ん、いま一つのように思える。特にシケインの立ち上がりで車が全然前に進んでいない。ブレーキの調整のため、幾度となくピットへのイン・アウトを繰り返すトシゾー店長。練習時間15分が経過し、「走行時間は終わったでぃ。早いとこピットに入れてくれなぁ!」とのアナウンスあり。グループ最後の山崎さんの走行も終わり、藤井さんの後は、いよいよ私の出番じゃ!

ゼノアチューンエンジンのニードルを合わせてもらい、いよいよ私の番がやってきた。出走時間は12時過ぎだったのかな?日本であれば路面の温度は60度以上となり、パーコレーションに悩まされる時間帯であるが、ここエッティンゲンのサーキットでは、日差しは暑いものの、湿度が低いせいか、路面温度もさほど上がっていない。タイヤはトシゾー店長と同じ構成で望む。ステアリングサーボには、世界戦用のS5301デジタル、エンコン・ブレーキサーボは、SANWA ERG−VB。緊張しながらコースインするも、まともに走らせることができない。

ピットイン・アウトを繰り返しながら、ブレーキの調整を行うものの、いまいち効きが悪い。コントロールタワー前からシケインへの進入は突っ込みすぎで、車が完全に止まってしまう。立ち上がりスピードが遅いからバックストレートへのラインに乗せられず、インに付きすぎると縁石に乗り上げ、バランスを失ってその場でスピン。アウト側に膨らみすぎると、そのまま芝生の上を爆走することに。複合コーナーをミスなくクリアして、いよいよバンクの付いたハイスピードコーナーへ「うりゃ〜!」と突っ込むと、そのまま車はまっすぐにコーナー奥へ…。アウト側から突っ込むと失速してイン側に切れ込んでしまう。高速コーナーの立ち上がりは思った以上にスピードが乗っているので、手前のヘアピンでは曲がりきれずに、ここでもコースアウト。最終コーナーではド・アンダーで車が曲がってくれない。出発前にチームFGのセッティングシートを参考に車を作ったはずなのに、ぜんぜんダメ。

どこが行けそうだ!?どこが単調だ!走らせてみると分かるが、すんごく難しい!おまけに車のセットが出ていないと、絶対は速く走らせることはできない!

1回目の練習走行では、どうにかこうにかコースを走っただけに終わった私。15分の走行時間は、私にとっては短すぎる。とにかく走って走って走り込んで、コースを覚え、車の不具合を調整してきた私には、試練である。とにかく限られたインターバルの中でセットを見出し、限られた練習時間でコースに慣れると同時に、ブレーキなどの調整もしなければならない。世界戦経験豊富なハチさんから言われたこと。「世界戦は学ぶ場所ではない。自分の持てる力を全て出す場所だ!」。そう、甘く考えていた私の気持ちは、こっぱみじんに吹っ飛んだ。ここは世界選手権なんだ。これまで自分がやってきた成果を問われるレースとなっていったのである・・・。
 

 
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