SW野郎の「1:5世界選手権参戦記」

公式練習初日編〜その3

世界戦コースの初走行は、しちゃかちゃだった私。15時過ぎの走行時間に向け、車をいじる。日本を出発する時から気になっていたのは、リヤの油圧ブレーキ。効きがイマイチで、どうもエアをかんでいる様子。とりあえず今日のところは、このままの状態でもう一度走らせてみることに。

私よりも深刻なのはトシゾー店長の油圧ブレーキ。スロットルを握った状態で一発目にブレーキをかけるとスルスル状態。何回かブレーキをかけてやると、まともに効くようになるのだが、エア抜きしても、オイルを交換してもその症状は改善されないままであった。いったい何がどうなっているんだろう? 結局、ず〜とブレーキに悩まされ続けるトシゾー店長であった。

腹が減ったので、何か食べることにした。日本だとコンビニで昼のお弁当を買ってくるのだが、ここではそんなものはない。その代わりにサーキット内にファーストフードのお店というか、露店というか、ようはそこで飲み物や食べ物を買うことができる。飲み物は、ビールのほか、コーラ、ファンタ・オレンジ、ミネラルウオーターなど。食べ物は、というと、よくわからない。トシゾー店長が「オレの分まで買ってきて〜!」というのでとりあえず、コーラと、どこかの人がおいしそうに食べていたフランスパンとソーセージとポテトのセットと同じのを2つ買って、二人でコース脇の芝生席に移動し、練習走行を眺めながら食べた。

「SW野郎!ついに来たぜ、世界戦!」トシゾー店長。「そうじゃな〜。来てしまったなぁ〜!」と私。二人で物思いにふけりながら、パンをほおばる。

「あんたなぁ!頼むでぇ〜!おせっかちしたら、いけんでぇ〜! わかっちょんのな?」とトシゾー店長。「あんたなぁ!人の心配する前に、自分のことちゃんとしなあぇ! ブレーキはどうなん?」と私。「あんたなぁ!そげえいうんじゃったら、オレはやるで!」とトシゾー店長。「あんたなぁ!そげえいうんじゃったら、オレもやるで!」と私。「あんたなぁ!ケチャップがポロシャツについたじゃんかぁ!」・・・。

そんな二人の誓いは早くも現実となっていくのであった。公式練習初日で世界のドライバーどもを震撼させる走りを披露したトシゾー店長。この日のベストラップは世界の強豪の中で、な、なんと!7位のタイムを叩き出したのだ!このコースは1ケ月前からクローズであったものの、これまで走り込んでいるドイツ勢をはじめ、ヨーロッパの選手たちを押さえたとなれば、周りが黙ってはいない!東洋のちっぽけな国から来た、腹の出具合だけは世界基準のトシゾー店長の周りがいきなり騒がしくなった!!

あのコラーリやチームFGのフラビオといったヨーロッパ、いや世界のトップドライバーたちが「JAPのトシゾーって誰やねん?」みたいな感じで、雑誌の取材を受けるは、有名人は来るわで、ちょっとした時の人って感じ。トシゾー店長の活躍で、俄然、熱が入ってきたチームJapanのパドック。

おっしゃぁ!トシゾー店長に続け〜!とばかりに気合いを入れてコースインした私であったが、シケインをクリアできずに、そのまま芝生にコースアウト。結局、コースの感触もつかめないまま、初日が終わってしまった。明日の公式練習に備えるため、パドック内で簡単に整備をして、片づけが終わったのは21時前。「え〜?もうこんな時間?」日本ではまだ18時前の明るさだ。車に荷物を積み込み、サーキットを出たのは21時10分過ぎ。

前を走るさいとうさんの車を見失ってしまった、ドライバーハチさん、藤井さん、ハシモトくん、そして私の4人。「山崎さんは、右、右って走ればホテルに着くって言ってたよな?」「でも最初は左に出て、それから右、右なんじゃない?」そんなやりとりをしていたら、チンプンカンプンな所に出てしまった私たち。「とりあえずサーキットに戻ろうか?」と来た道を引き返すも、戻れない。早い話、道に迷ってしまったのだ!

住宅街を行ったり来たりしながら、誰かに道を尋ねようということになり、道ばたでたむろしていたヤンキー兄ちゃんたちに聞く。「ホリディ・インはどう行くんじゃ!?」「右に行って、右さ!」と答えたと思う。藤井さんの話では、「そう言ったあとから中指立ててたよ・・・」
  
半信半疑で走っていくと、何やら記憶のある道に出た!「これって朝、Uターンした道じゃない?」「ってことは、もうすぐホテルだよね!?」私たちの顔に笑顔が戻る。右手にはホテルの看板が見える!「やったぁ!帰りついた!」「いやあ、生きた心地がしなかったよ〜!」「早くビール飲みたい〜」 私たちはホテルを右に見ながら、高速道路に乗ってしまった・・・。

「まあ、次の出口を降りればいいよ!」「でも今、30km先って書いてなかった???」 ・・・沈黙の車内・・・。

本当に30Km先の出口まで走ることになり、そのまま引き返す私たち。どうにかこうにかホテルに着いた時には、22時30分を回っていた・・・。「今日も夕食はおあずけか・・・」落胆する私たち。レストランでは、山崎さん、さいとうさん、トシゾー店長が夕食も終わって談笑していた。22時は過ぎているものの、軽食だったらOKということで、急に元気になった私たち。とりあえず、パスタを頼んだが、待つこと1時間。やっと出てきたパスタは、ふやけていた・・・。客がめちゃくちゃ多かったからかもしれないが、パスタで1時間も待つなんてあんまりじゃ〜!でも上には上がいて、となりのテーブルのイタリアチームなんか、2時間待っても何も出てこなかったらしい・・・。

そんなこんなで、長かった世界戦初日が終わった。シャワーを浴びてベットに入ったのは24時過ぎ。明日は5時に起きて、ブレーキの調整をしなくっちゃ!という訳で、トシゾー店長よりも先に眠った私であった。

 
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