SW野郎の「1:5世界選手権参戦記」

決勝レース初日編〜その3

スタートの合図までブレーキを握りしめていたから、当然、出遅れた。スタート直後のシケインで、3台ぐらいが接触してコースをふさいでいる。前に出ることができず、後続の車からぶつけられ、いつものように最下位10番手まで落ちてしまう。
 
ブレーキを握らないと勝手に車が前に進むから、コーナーリング中もアクセルをパーシャルにはできず、ブレーキをかけた状態で走らせることしかできないから、当然、前を行く車についていくことができない。それでも、2分過ぎまでには7番手まで上がる私。決勝レースは20分間。この先、何があるかわからない。このまま我慢して走らせていれば、トップを奪うことはできないまでも、何とか3番手まで上がれば、勝ち上がることができる。
 
3分過ぎ、シケインでトップの車に早々と抜かれる。「こんやたぁ〜!」と思うものの、走れない車で無理についていっても、自分のペースが乱れるだけ。焦る気持ちを抑えつつ、バックストレートからバンクのコーナーをクリアし、手前のヘアピンに向け全開!

と、その時!私の視界に、さっき抜いていったトップの車が!あとから聞いてわかったのだが、高速コーナーを抜けたところで、コースアウトし、そのままコースに戻ってきたらしい。高速コーナーを全開で立ち上がってきた私の車は、そのまま激突!左前のターンバックルが折れ、その場でリタイヤとなった。まさに神風特攻隊・・・・。

勝ち上がることだけを考えてきた私にとって、よもや3分過ぎで、決勝レースが終わってしまうなんて、そんなこと、これぽっちも考えるわけない。もう何がなんだかわからない状態。逆上して、プロポを床に叩きつけようとした瞬間、我に返り、まだ上位3台を狙って走る山崎さんほか、他の選手の応援をしなくちゃ!おれが雰囲気を、レースを壊してどうするんだ!と自分でも不思議だけど、何故かそういう気持ちに切り替わった。

コントロールタワーを降りる際、係員に深々と礼をし、ここにはもう2度と上がってくることはないんだと、一歩ずつ踏みしめるように階段を下りる。コース脇のフェンス越しに山崎さんを応援する。堅実な走りで、見事山崎さんは勝ち上がることができ、引き続き1/128Bファイナルへと進出。自分のふがいなさに腹が立ってしょうがない私。そんな気持ちを絶対に外に出しちゃだめだ!と思いながらもきっと全身から怒りのオーラが出ていたのかもしれない。「そんなことでどうする!山崎さん、そしてハチさんはこれから走るんじゃ!しゃんとせんか〜!」とトシゾー店長。小さくうなずき、「山崎さん!頼んまっせ〜!」と激励する。

1/128Bファイナルでは、完走したものの、車が本来の動きではなく、山崎さんの世界戦もここで終わってしまった。続いて登場したハチさん。スタート直後から飛び出し、快調にトップを走る。2位との差をバックストレート1本分まで広げ、勝ち上がりは確実!と思った魔の3分過ぎ。バックストレートで、でかい石を踏んでしまい、その場でスピン!しかもその際にステアリングサーボが逝ってしまったらしく、ジリジリと後退してしまうハチさん。残念ながらハチさんは勝ちあがれずに決勝レースが終わってしまった・・・。

チームJapan無念の敗退に、沈みがちなチームJapanのパドック。でも明日はファイナル進出に向け、トシゾー店長が1/2Bファイナルに登場する。彼に悪い影響を与えまいと必死でこらえるも、私の心境は、もうどん底であった・・・。

この日も、FGの社長主催のバーベキューパーティーがあった。でも私たちは、食べる気力もなく、ただ車を整備し片づけていた。トシゾー店長は、そんな私たちに気をつかってか、腹がへっていたであろうに、待っていてくれたのであった。本当に申し訳ないと思うものの、「しょわねぇ〜!」と思うようにすればするほど、自分が情けなくなるばかり。
荷物を車に積み終えた時、しょげた私たちを気遣ってか、フラビオが自分のメンテナンス・スタンドを私たちの前に置き、「これをテーブルにして、おいしいバーベキューでも食ってさぁ、元気だせよ〜!」って言わんばかりの表情をしてくれた。フラビオは身長が1m90cmはある大男なので、写真のテーブルの高さでもメンテナンスができる訳だ。

おいしいはずのバーベキューも味がなく、「日本に帰って、ハチイチの全日本どころの話じゃない。関空からそのままどこかに行ってしまいたい・・・」そんな言葉をハチさん、tamaさんに漏らした私であった・・・。だって、スタート前はあれほど調子がよかったのに、サーボが壊れるというトラブルが、なんで出るの?しかも普通だったら前方に車が止まっているのは見えるはずなのに、どうして回避できなかったのか?あとからプロポを取りに行ったとき、特攻した場所を見ても、絶対回避できたはずなのに、それができなかったんだから。

ホテルに帰り、レストランで食事をする私たち。トシゾー店長は、一人部屋に帰り、明日のレースに向け整備をしている。一緒に部屋にいてあげようと思うが、かえって気を散らすことになりかねないので、遅くまでビールを飲みながら、これからの目標もないし、ラジコンやめてしまおう!と本気で考えた夜だった。

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