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メカプレートを乗せ変え、リンケージ調整を行い、コースに復帰したのは、ファイナルレース2ヒート目がスタートして8分が経過していた。このままゴールまで走ったとしても、1ヒート目で9位の選手との差が38周、トップとは52周の差があり、どう転んだとしても、10位は確定していた。
今回の世界戦でトシゾー店長は、油圧の不調に始まり、ピニオンの脱落、ベアリングの交換、デフ、クラッチの故障、そしてよりによってファイナルレース中にステアリングサーボが壊れるという、まさにトラブルの連続であった。
そんな中、数々のトラブルを克服し、セミファイナルで私たちに見せつけてくれた、鬼神の走り!そして体全体でその喜びを表現してくれたファイナル選手紹介・・・。ファイナルレース1ヒート目では、一時は3位まで上がって、トップも狙える位置を走っていただけに、トシゾー店長の悔しさはどれほどのものだろう。傷だらけの車で走るトシゾー店長。そんな姿を見ていると、とっても「むげね〜!」。
もう順位はどうだっていい。世界選手権のファイナルレースに、トラブルを克服して、再びトシゾー店長が帰ってきた。このまま、なんとかチェッカーフラッグを受けてほしい!そして私が待つピットに戻ってきてほしい。
そんなこと思っていたら、コースに復帰して4周目に、もうピットに戻ってきたトシゾー店長。早すぎるんじゃちゃ!
感傷的な気持ちは一気に吹き飛ぶ!「どした〜?何があった〜?」とピットから叫ぶも、コントロールタワーのトシゾー店長は、「もうダメじゃ〜!」というかのごとく、無言で首を横に振り、そのまま私たちの視界から姿を消した。
「tamaさん、どうしたんやろ?」というが早いか、また車を抱え、パドックまで走る私たち。私たちよりも先にパドックに戻っていたトシゾー店長に「何?何がどうしたん?」と聞くも「スロットルのリンケージがあっていない。スロットルを戻しても、車が前に進んでいく・・・」。「じゃったら調整し直せばいいじゃん。まだ時間はある!ピットに入りながらだってできるじゃん!」というも、「そげなこと、できん!まともに走らない、調整もできていない車で走って、もしも他の車と接触したりして最高のレースをぶちこわしかねない。オレにはそんなことできない!」
言葉では感情を表に出さないトシゾー店長が、強い口調で私たちにそう言った。私たちは、何も返す言葉はなかった・・・。
こうしてトシゾー店長のファイナルレースは終わった。ファイナル2ヒート目は、4周。ベストラップは17.11であった・・・。
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